2024年はイーサリアム・ブロックチェーン史上最も重要な年になる可能性がある。米国でイーサリアムの現物型上場投資信託（ETF）が承認される可能性に加え、この年は2022年のマージ以降、初の強気市場を迎える。

マージのアップデートにより、ネットワークの利用が高まる期間にETHはデフレーション的になる。マージ以来、ETH供給量の0.2%がバーンされ、ネットワーク利用の増加に伴い、今後数ヶ月でこの数字はさらに増加するだろう。

2024年 イーサリアムネットワークで最も重要な年になる【オピニオン】 image 0 マージ以来のETH供給 Source: Ultra Sound Money

また、イーサリアム・ネットワークの次のアップデートであるイーサリアム改善提案（EIP）4844は、今年実施される予定だ。これは、イーサリアムのレイヤー2（L2s）ブロックチェーンのエコシステム全体を最大10倍安くすることを目指している。

これが今回のサイクルでの大きな転換点となり、イーサリアムとL2sを重要な年へと導くだろう。L2sがなければイーサリアムはスケールしないというのは単純な事実だ。また、サブチェーンや特化したビジネス開発チームがなければ、L2sの成長は必要な速度で進まない。

イーサリアムとは何か？

これを理解するには、イーサリアムとは何かという問いに立ち返る必要がある。

ビットコイン（BTC）と異なり、イーサ（ETH）は、ブロックチェーンの機能にのみ関連する本質的価値を持つ単なる資産ではない。イーサリアムは共有可能でプログラム可能なデータベース、あるいは分散型アプリケーション（DApp）開発プラットフォームという考え方により沿っている。したがって、価値を持つためには、それに価値のあるアプリケーションが存在する必要がある。

一部のアプリケーションは既にWeb3から自然に出現しているが、大多数は伝統的な企業がシステムを適応させ、ブロックチェーンと統合することで生まれるだろう。これはこれまでに達成されたことがない。現在、チェーン上に存在する主要な非ネイティブWeb3のキラーアプリは何か？前回の強気市場後に、どれだけの企業がオンチェーンアプリケーションを真剣に維持しているか？

存在しない主な理由は、「ブロックチェーン的に考える」ことができる人が少ないためだ。つまり、問題を見てブロックチェーンをソリューションと考えるか、トークンを十分に理解してそれに関連するビジネス機会を考えることができる人が少ない。過去のサイクルでは、ブロックチェーンの広範で中立的な性質により、ほとんどのアクターがジェネラリストでしかなく、これらのプレイヤーを一貫してガイドする支援は提供されなかった。

その結果、ミームコインや非代替性トークン（NFT）ブームとブロックスペースを競合させることで一部の操作が実行不可能となった。

企業はブロックチェーンを実験したいと考えても、その方法がわからず、ブロックチェーン自体や他のWeb3企業のビジネス開発チームからのガイドを必要とした。

しかし2024年には、状況が変わる。より多くのリーダーシップポジションを大企業で持ち、オンチェーンで構築する方法についてより成熟した考え方を持つ人々によって、ブロックチェーンエコシステムは専門化の時期を迎えている。

現在、最大のL2ブロックチェーンは、特定のニッチに特化したチームや構造を持つサブチェーンに分割していることが明らかだ。

チェーン開発キット

例えばポリゴンを使用すると、一般的なブロックチェーンと地域のビジネス開発チームを持つ代わりに、ポリゴンは既に特定のユースケースに特化した複数のサブチェーンに多様化している。

Until now, blockchain scaling had 2 paradigms: Monolithic Modular

Introducing the next one: Aggregation

A novel solution combining the benefits of monolithic modular designs by unifying liquidity via safe, near-instant atomic cross-chain txs using ZK proofs.

Feb Mainnet … pic.twitter.com/mE0qssoWyJ

— Polygon | Aggregated (@0xPolygon) January 24, 2024

この変化は、ポリゴンが市場に提供しているチェーン開発キット（CDK）によってサブチェーンが構築され、すべての流動性がアグリゲーション レイヤーによって接続されていることによるものだ。最近の数週間で、ポリゴンは以下を発表している：

  • B2、ビットコイン用のロールアップを構築するCDKチェーン
  • OEVネットワーク、すべてのオラクル抽出可能価値（OEV）を捉えることを目的としたCDKチェーン
  • Hypr、ゲームに焦点を当てたCDKチェーン
  • Libre、トークン化資産の発行に特化したCDKチェーン
  • FireDrops、インド最大の電子商取引であるFlipKartのロイヤルティアクション向けに設計されたCDKチェーン

他の主要なL2ブロックチェーンも同じ道を歩んでいる。ポリゴンがCDKと呼んでいるものは、例えばオプティミズムによって「Op-Stack」と呼ばれている。

2024年 イーサリアムネットワークで最も重要な年になる【オピニオン】 image 1 Op-Stackに基づくブロックチェーン. Source: CryptoRank

パラダイムシフトは劇的であり、2024年は多くの専門化されたサブチェーンと各L2ブロックチェーンのビジネス開発チームが同じセグメントで競合する戦いの年となるだろう。

そうした中で、2024年はついにWeb2のキラーアプリがWeb3で登場する年となるだろう。この年は、企業やユーザーが日常生活にブロックチェーンを取り入れ、継続して使用する保持サイクルの始まりを示す年になる。

今年はL2ブロックチェーンの年であり、結果としてイーサリアム・ネットワークにとって重要な年になるだろう。

リュギ・ティリエ氏（Lugui Tillier）は、リオデジャネイロのWeb3スタジオLumxの最高商務責任者だ。Lumxには、ラテンアメリカ最大の投資銀行であるBTGパクチュアル銀行が投資家に名を連ねている。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自分でリサーチを行って決定してください。