ビットコイン高値更新で日本発ブロックチェーンは盛り上がるか?Japan Open Chainファウンダー・近藤秀和氏に聞く【インタビュー】
ビットコインが10万ドルに迫っている。米大統領選におけるトランプ再選がきっかけとなり、円建てでも1BTC=1500万円を突破。破竹の勢いだ。
一方で日本では暗号資産の売却・交換にかかる税率が高く、WEB3やブロックチェーン業界が盛り上がっているとはいえない。また日本では同分野におけるベンチャーキャピタルが未成熟で、Web3分野の挑戦者にとって理想的な事業環境ではないのが現実だ。
こんな現状をどう打破するのか、日本発のブロックチェーン「 ジャパンオープンチェーン ( Japan Open Chain 、略称JOC)」の代表・近藤秀和(こんどうひでかず)氏に話を聞いた。
ジャパンオープンチェーンは、ソニーのグループ内スタートアップであるコーギア、NTTグループのNTTコミュニケーションズ、電通、TISなどの業界をリードする著名な企業によって共同運営されている、イーサリアム互換(レイヤー1)のコンソーシアム型オープンチェーンだ。
コインテレグラフジャパン:日本発ブロックチェーンにかける思いは。
近藤氏:ブロックチェーン技術を安心・安全に社会に実装したい、これにつきる。特に日本の信頼できる企業が運営し、政治的・法的に安定している日本の法律の下で運用されるパブリックチェーンというコンセプトで、「JAPAN」にこだわっている。
例えば日本の各種知財、文化を含めた様々なジャパニーズコンテンツをジャパンオープンチェーン上で安心、安全にグローバルに展開したいと考えている。
コインテレグラフジャパン:ブロックチェーンをどう社会実装するのか。
近藤氏:金融やビジネス分野での利用に最適なチェーンとして設計している。一番のユースケースは金融機関が発行する法規制準拠のステーブルコインをジャパンオープンチェーン上で発行・流通させることだ。
ジャパンオープンチェーンのバリデータでもあるG.U.Technologies株式会社は、2023年6月の改正資金決済法施行によって国内でステーブルコインを発行する法律が整備されたことを受け、国内銀行と連携しステーブルコインの発行・管理システムの構築を進め、ジャパンオープンチェーンが次世代型の金融インフラとして利用されることを目指している。
現在は法的基準を満たすためのシステム開発と実証実験を進めている段階だ。この実証実験には、あおぞら銀行、オリックス銀行株式会社・株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ・株式会社みんなの銀行・株式会社四国銀行などの金融機関が参加し、ステーブルコイン型の電子マネーの発行や送金をジャパンオープンチェーン上で実行している。
5年後には、おそらく「Web3金融」「デジタル金融」が普及していて、その中心となるのはステーブルコインだと思っている。ジャパンオープンチェーンはステーブルコインのインフラとして世界中に展開、応用されている状況を目指して行く。
コインテレグラフジャパン:現状の具体的活用例は?
近藤氏:代表的なプロジェクト例として、石川県加賀市でのNFTを活用したe-Residency「e-加賀市民証」の正式導入に向けた実証実験や日本郵政グループと山形県山辺町の70周年記念を題材に、2種類の切手モチーフのNFTアートのJOC上での発行・販売を行っている。企業または地方自治体と一緒に、地方創生の施策に貢献したいと考えている。
コインテレグラフジャパン:暗号資産やブロックチェーン関連の規制や法整備をどう見る。
近藤氏:暗号資産投資に関しては、暗号資産は金融商品として他の金融商品と同じような規制がされていくだろう。実際、日本において金商法適用を検討するとのニュースが出ている。今後は税制上も規制上も、株式やFXなど伝統的金融商品と同じ立ち位置になるとみている。
一方、ブロックチェーンに関しては既存の法律に対して法的適合性が重要視されていくと考えている。今まで法的適合性を無視して自由にやってきていたブロックチェーンプロジェクトのメンバーが各国政府から訴えられたり、逮捕・収監までされるニュースが相次いでいる。
そんな中、ジャパンオープンチェーンの法的適合性を考えたレギュレーテットチェーン(法・規制順守チェーン)に対する反応はとても良く、世界中のプロジェクトから問い合わせが届いている。
ジャパンオープンチェーンはイーサリアムEVMチェーンだが、通常のEVMチェーンと異なり、実用的なブロックチェーンを目指すべく、オープンチェーン(パブリックチェーン)形式×コンソーシアム型(パーミッションド)で運用されている。誰もがノード参加できるPoWやPoSなどのオープン・ノード・サーバ型チェーン(パーミッションレス型チェーン)には法的な問題点が多いからだ。各国のデータ保護規制や経済制裁対象国への対処に拘るため、金融商品の組成が困難になってくる。
その点において、あらかじめ許可された複数の運営主体が運営するコンソーシアム型運営を行うことで、単一母体が運営を行う独占型より分散性を確保しつつ、世界各国の規制基準への対応や監督機関との連携を可能にしている。
コインテレグラフジャパン:最後に、ブロックチェーン普及の決め手は。
近藤氏:ブロックチェーンは素晴らしい技術でありながら、それを使ったWeb3の世界では詐欺や様々な犯罪行為がまだまだみられる。これが世の中に本当の意味で普及できない理由だ。まだまだネガティブな印象が強く事業者も安心して導入できない現状に対して、一番大事で不可欠なのは「安心」というキーワードだと思っている。
だからこそ、ジャパンオープンチェーンは日本の法律を遵守し、安心できる運営者による高速ブロックチェーンを提供する。Web3による革新的な技術を全ての人に提供し、世界中で1円未満の手数料による即時送金、銀行によるステーブルコイン・プロジェクトやNFTなどの資産のデジタル化を通じて、世界中の社会課題を解決した。デジタル金融革命を起こす意気込みだ。
近藤 秀和:早稲田大学大学院博士課程修了。ソニー株式会社を経てウェブブラウザサービスを提供するLunascape株式会社を設⽴。2018年にG.U.Labs株式会社を設⽴後、2020年にG.U.Technologies株式会社を設⽴し、代表取締役CTOに就任。2022年、ブロックチェーン技術を安全に社会に実装することを目指し、Japan Open Chainを立ち上げ。2004年 IPA 未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエーター認定。2005年 経済産業省よりソフトウェア‧プロダクト‧オブ‧ザ‧イヤー受賞。2011年 AERA誌「⽇本を⽴て直す100⼈」に選出。
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