2月の非代替性トークン(NFT)の取引高は、2024年後半の回復基調にもかかわらず、12月から60%以上減少した。これは仮想通貨市場の下落と軌を一にしている。

2カ月連続の大幅減少

DappRadarのアナリストであるサラ・ガーゲラス氏は、3月6日に 発表した業界レポート で、12月のNFT総取引高が13億6000万ドルに達したものの、1月は前月比26%減少し、2月にはさらに50%減少したと指摘した。

「NFT市場は昨年後半に回復の兆しを見せていたが、年明け以降、その勢いは鈍化している」とガーゲラス氏は述べた。

この低迷の要因について、NFTの評価額と仮想通貨価格の相関関係が影響していると分析している。

NFT取引高が前月比50%以上減少 「年明け以降、勢いが鈍化している」=DappRadar image 0

NFT取引高は25年に入ってから苦戦  Source: DappRadar

仮想通貨市場の急変が影響

2024年12月9日、仮想通貨市場の時価総額は過去最高の3兆7100億ドルを付け、多くの仮想通貨が大幅な価格上昇を遂げた。

ビットコイン(BTC)は、1月20日に10万9000ドルを突破し、12月17日に記録した過去最高値10万8000ドルを更新した。これは、トランプ大統領の就任を控えた市場の期待感が背景にあった。

しかし、2月に入ると、トランプ氏が米国の貿易相手国に課す関税をめぐり、マクロ経済の不透明感が高まり、 市場全体が下落した 。

この影響で、分散型アプリ(Dapp)のアクティビティも2月に鈍化し、1日あたりのユニークアクティブウォレット数は8%減の2400万まで低下した。

AI関連NFTへの関心は上昇

一方、2月のNFT取引数は6%増加し、350万人のユーザーがNFTプラットフォームと取引を行った。特にAIを活用したデジタル資産への関心が高まっているという。

「NFTプロジェクトにおける人工知能の統合が進んでおり、より動的でインタラクティブなデジタル資産へのシフトが起きている」とガーゲラス氏は述べた。

「NFT市場は投機的な取引の影響を受けやすいが、実用性・エンゲージメント・現実世界での応用が強いNFTこそが、Web3の長期的な普及を牽引するだろう」と分析している。

NFTの中でも、プロフィール画像(PFP)系NFTが最も取引高が多く、総額2億4300万ドル、7万6385件の取引を記録した。

ゲーム関連NFTは、取引高で2位につけ、4100万ドル、42万1853件の資産が取引された。スポーツNFTは、取引件数で最多の65万9097件を記録し、取引総額は770万ドルとなった。

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プロフィール画像系とゲーム系NFTが取引高を牽引 Source: DappRadar

DappRadarが 1月に発表したレポート によると、2024年のNFT市場は2020年以来最も低調な年となった。これは、市場のボラティリティやトークン価格の上昇が影響したとされる。年間のNFT取引高は137億ドル、総取引数は5000万件未満にとどまった。

NFT市場が最も活況を呈したのは2022年で、当時はNFTがメインストリームに浸透し、年間取引高は572億ドル、取引件数は1億2170万件に達していた。