金融庁が資金決済法改正案を公開、仲介業制度やステーブルコインの運用緩和を導入
金融庁は、暗号資産の取引仲介業制度の創設やステーブルコインの運用ルール緩和などを盛り込んだ資金決済法の改正案を 公表した 。イノベーションを促進しつつ、市場の健全な発展と利用者保護を両立させる狙いだ。
出典:金融庁
暗号資産の仲介業制度を創設
新たに創設される仲介業制度は、暗号資産交換業者と利用者の間をつなぐ事業者を対象とする。現在は、暗号資産の売買や交換を行わない単なる媒介事業者であっても、交換業の登録が必要とされている。
改正案では、仲介業者としての登録制度を新たに設けることで、財務要件やマネロン規制が緩和される。一方で、利用者保護の観点から、広告規制や説明義務は交換業者と同様のルールが適用される。
仲介業の導入については11月の金融審議会で 提案されていた 。当時の日経の報道によれば、この制度の導入背景には、企業が自社のサービス内で暗号資産を活用したいというニーズの高まりがあるという。 例えば、ゲーム内のアイテム購入や企業のポイントシステムにおいて、仮想通貨を活用したいという需要が広がっている。仲介業制度を導入することで、こうした用途に対応しやすくなると期待される。
ステーブルコインの裏付け資産運用を柔軟化
ステーブルコインに関しては、発行額の50%を上限として、短期国債や解約可能な定期預金など、元本毀損リスクの低い資産での運用を認める規定が盛り込まれた。現行法では、裏付け資産を全額を預貯金で保有することが義務付けられていたが、欧米の規制を参考に、より柔軟な運用が可能となる。
海外ではすでに短期国債を裏付け資産に組み入れる仕組みがあり、日本もこれに近づける形となる。 さらに、金融庁は「金利上昇や途中解約による元本減少が発生した場合、追加の資産拠出を求める義務」など、リスク管理の仕組みも導入する考えだ。
暗号資産交換業者に対する新たな規制
暗号資産交換業者の監督強化として、「資産の国内保有命令」 が新たに導入される。これは、暗号資産の現物のみを取り扱う交換業者が破綻した際に、顧客資産の国外流出を防ぐための措置だ。
金融庁は、2022年に破綻したFTXの事例を挙げ、日本国内のFTXジャパンに対しても資産の国内保有命令を発出し、顧客資産の保護を図ったと説明。FTXジャパンのような暗号資産デリバティブ事業者には既に国内保有命令はあったが、今回の改正により、暗号資産デリバティブ取引を行わない業者にも適用範囲が拡大する。
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