ハイパーリキッド、400万ドルの清算損失を受け証拠金要件を引き上げ
ハイパーリキッド(Hyperliquid)は、流動性プールが大規模なイーサ(ETH)の清算によって数百万ドルの損失を被ったことを受け、トレーダー向けの証拠金要件を引き上げたと発表した。
3月12日、あるトレーダーが約2億ドル規模のイーサのロングポジションを意図的に清算し、その結果、ハイパーリキッドの流動性プールHLPは400万ドルの損失を被り、この取引は解消された。
ハイパーリキッドは3月13日のX(旧Twitter)への投稿で、3月15日から一部の未決済ポジションに対して最低20%の担保証拠金維持を義務付けると発表した。この新要件は「取引解消時に市場に与える仮想的な影響(マーケットインパクト)を伴う大規模ポジションによるシステミックリスクを軽減する」ことを目的としている。
この出来事は、Web3におけるレバレッジ型永久先物取引プラットフォームとして急成長するハイパーリキッドが直面する課題を浮き彫りにしている。
Hyperliquid has adjusted margin requirements for traders. Source: Hyperliquid
ハイパーリキッドは、この400万ドルの損失がハッキングや不正利用によるものではなく、「極端な状況下における取引プラットフォームの仕組みによる予測可能な結果」であると説明した。
「昨日の出来事は、極端な状況に対応するために証拠金制度をより強固にする機会を示した」とハイパーリキッドは述べている。
この変更はすべての取引に適用されるわけではなく、オープンポジションから担保を引き出す場合など特定の状況に限定される。なお、トレーダーは依然として最大40倍のレバレッジで新規ポジションを取ることは可能だ。
永久先物は期限のないレバレッジ付き先物契約であり、通常ハイパーリキッドではUSDC(USDC)を証拠金として預け入れて取引が行われる。
今回のケースでは、トレーダーが大部分の担保を引き出した上で自らポジションを清算することで、市場に与える価格変動(スリッページ)を回避しつつ利益を確定させることができた。その一方で、その損失はハイパーリキッドのHLP流動性プールが負担する結果となった。
Hyperliquid’s HLP has more than $350 million in TVL. Source: DeFiLlama
主要な永久先物取引所
DeFiLlamaのデータによれば、2025年3月13日時点でハイパーリキッドのHLP流動性プールには約3億4,000万ドルの総預かり資産(TVL)が存在する。
資産運用会社ヴァンエックの2025年1月のレポートによると、2024年に立ち上げられた永久先物取引所であるハイパーリキッドは、GMXやdYdXといった競合を上回り、市場シェアの70%を獲得している。
ハイパーリキッドは、中央集権型取引所(CEX)に匹敵する高速な決済時間や低手数料を特徴とする取引体験を提供しているが、他の分散型取引所(DEX)と比べて分散性が低いとされる。
また、DeFiLlamaのデータによると、2025年3月12日時点でハイパーリキッドの1日あたりの取引高は約1億8,000万ドルに達している。
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