イーサリアム(ETH)はここ数カ月、対ビットコイン(BTC)で何度も売られ過ぎの水準に突入しているが、いまだに底打ちの兆候は見られない。現在の相場状況は過去のパターンと類似しており、2025年第2四半期から第3四半期にかけて同様の動きを繰り返す可能性がある。

イーサリアムのさらなる弱気相場を示唆

ETHの3日足チャートにおける相対力指数(RSI)は30を下回っており、これは通常、反発の可能性を示すシグナルとされる。

しかし、過去のデータを見ると、売られ過ぎの水準に到達した際に明確な底を形成した例はなく、その後もさらなる下落が続いている。これは、弱気の勢いが根強いことを示している。

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ETH/BTC 3日足チャート Source: TradingView

2024年半ば以降、ETH/BTCペアは繰り返し下落を経験しており、その間に13%、21%、25%、19.5%の急落が相次いだ。また、50日間指数平滑移動平均線(EMA)と200日間EMAがともに下降トレンドを形成しており、強気の勢いが乏しいことを裏付けている。

Xのマーケットアナリストの CarpeNoctom氏 は、ETHのネガティブな価格推移を指摘し、ETH/BTCペアの週足チャートで強気のダイバージェンスが確認されていないことを強調した。

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ETH/BTC weekly price chart. Source: TradingView/CryptoNoctom

イーサリアムETFの資金流出

ETH/BTCの下落トレンドは、仮想通貨市場全体と比較しても際立っている。米国市場におけるイーサリアム上場投資信託(ETF)の資金流出が続いており、オンチェーンデータもネガティブな傾向を示している。

イーサリアムETFの純流入額は3月に9.8%減少し、25億4000万ドルとなった。一方で、ビットコインのスポットETFの純流入額は同期間に2.35%減少し、357億4000万ドルとなっている。

また、イーサリアムのガス代(メインネットの1日あたりの中央値)も大幅に減少しており、3月時点で1.12GWEIに低下した。これは1年前と比較して約50分の1の水準である。

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イーサリアムのガス料金(青)とETH価格(緑)  Source: Nansen

データ分析プラットフォームのナンセンは最新のレポートで「2024年末にETH価格が2度目の上昇を見せたものの、メインネットの活動量(ガス消費量)は完全に回復することはなかった」と指摘し、「その要因はいくつかあるが、2024年を通じて多くのアクティビティがソラナやレイヤー2(L2)に移行した」と説明した。

ナンセンは、ETHのリスク・リワード比がビットコインやニッチ市場に焦点を当てた小規模アルトコインと比較して不利であることから、「慎重な弱気姿勢を維持する」との見解を示している。

ETHの需要の低迷は、先物市場のデータにも表れている。

ビットコインの先物取引高は2月23日の安値から32%回復し、3月18日時点で570億ドルに達している。一方、ETHの取引活動はほぼ横ばいの状態が 続いている 。

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BTC、ETH、SOL先物の取引高  Source: Glassnode

ETH/BTCはさらに15%下落する可能性

ETH/BTCペアのチャートでは、弱気ペナントパターン(急落後の保ち合いを示すチャートパターン)が形成されている。

このパターンは、価格が下限トレンドラインを割り込むと、直前の下落幅と同程度の下落を記録する傾向がある。このルールを適用すると、ETH/BTCの4月のターゲットは0.01968BTCとなり、現在の水準から15%の下落が見込まれる。

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ETH/BTC daily price chart. Source: TradingView

さらに、50日間EMAと200日間EMAの下降トレンドは続いており、ETH/BTCペアはこれらの重要な水準を大きく下回ったままとなっている。これは、弱気相場が継続していることを示している。

ただし、ETH/BTCがペナントの上限抵抗線を突破し、50日EMAをサポートへと転換できれば、強気転換の可能性も残されている。

本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限りません。この記事には投資助言や推奨事項は含まれていません。すべての投資や取引にはリスクが伴い、読者は自身でリサーチを行って決定してください。